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今日見た映画『明治天皇と日露大戦争』

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今日は『明治天皇と日露大戦争』を見たよ。
新東宝の1957年の作品です。

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昭和30年、赤字の新東宝を立て直すために社長として迎えられた大蔵貢。
それまでの有名監督や俳優の使用をやめ、自社のスタッフや俳優での低予算作品を毎週のように新作公開するという方法で次々に作品を作っていきます。

その一方で低予算作品の合間合間に話題となるような作品を挟んでいく大蔵社長。
史上空前の2億円という巨費を投じて大作を作ります。
それがこの『明治天皇と日露大戦争』。

それまで日本映画では天皇の姿を出すこと自体がタブーだったなか、大蔵社長は天皇を主人公にする映画を作っちゃった。
しかもこれまた日本初のシネマスコープ作品で!

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残念ながらこれを聞いた東映が大急ぎでシネスコ作品『鳳城の花嫁』を製作・公開しちゃったため、日本初になれませんでした(^^;

いまでは様々な文献にも書かれていますが、天皇役に抜擢されたアラカンこと嵐寛寿郎もビックリだったみたいですね。

アラカン「そらあきまへん、不敬罪ですわ、右翼が殺しに来よります」

渡辺監督「大丈夫や、ボクかて右翼やないか」

大蔵社長「この作品に社運をかける、総天然色、大シネスコ、製作費二億円…寛寿郎くん、大日本最初の天皇役者として歴史に残りたいと思わんかねキミイ」

というわけでアラカンさん、天皇になりました。

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特撮作品などで活躍する俳優さんたちもいっぱい出てます。

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藤田進、江川宇礼雄(一の谷博士!)


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田崎潤、丹波哲郎

ほかにも沼田曜一、高島忠夫、宇津井健、天知茂、若山富三郎など当時はまだ下っ端だったけど、のちに大俳優になる皆さんがいっぱい!


ロシアとの戦いに苦渋の決断をするところから、次々に失敗していく作戦、203高地奪取そして旅順陥落。

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最後はバルチック艦隊との決戦!

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決して「日本は強いんだ!」という内容ではなく、次々に失敗していく当初の作戦、次第に高まる乃木将軍更迭の声、大破したロシア戦艦の中で、ロシアの唄を歌いながら散っていく兵隊なども描かれています。


シネスコ作品とはいえ、まだ当時の映画館にはこれに対応した映画館も少なかったためスタンダードカメラでも同時に撮影していました。
もっとも弱小会社の新東宝では自社直営映画館も少なく、二番館や三番館といった小さな劇場での公開がメインだったようですが、史上空前の興行成績を残すことになります。

観客動員数は2000万人。当時の人口でみると、実に日本人の5人に1人が見た計算になります。
終戦からわずか12年。みんな強い日本を見たかったんでしょうね。
そして大蔵社長もプロモーション戦略。
試写では皇太子(現在の天皇陛下)もご招待!

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皇太子と大蔵社長

ちなみにこの記録は2001年の『千と千尋の神隠し』(2300万人)に破られるまで44年間 1位の座をまもっていました。

そして配給収入5億7000万円。当時の入場料が150円だったので、現在の1800円で計算すると…いかにスゴイ作品だったかが分かりますね~

ここで黒字に転じた新東宝でしたが、気をよくした大蔵社長のワンマンぶりがさらに強化(^^;
次第に新東宝は再び転落していくのでありました~


さて、この作品のチーフカメラマンだった新東宝の西本正さん。
『亡霊怪猫屋敷』『東海道四谷怪談』などの中川信夫監督の怪談映画などを撮ったのち、香港で活躍。
"香港映画の父"と呼ばれた方でもあります。

『梁山伯與祝英台』や、オイラが大好きな『大酔侠』などのショウ・ブラザーズ作品のほか、『ドラゴンへの道』『死亡遊戯』といったブルース・リー作品を撮影したスゴイ人!

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リーさんも「ニシモトサン」って呼んでたそうです(^^


これからBSプレミアムでギャレス版ゴジラやるね~

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